2013年12月26日

県民大学

先日宮崎市であった「神話のふるさと県民大学」に参加してきました。
講師は、奈良大学文学部教授の上野誠さん。
大学の先生なのに内容は講義のような感じではなくて、日本人全員に聞いてほしいメッセージだと思ったのでシェアいたします。


「日本神話からのメッセージ」

私が私であるのは、私に関わる物語があるから。
哲学者・梅原猛が「人が経験をするのではない、経験が“人”をつくるのだ」と言っているように、一人一人に物語がある。
それは日本という国についても言うことができる。
集団や地域、氏族のアイデンティティは“物語”として語られ、それはなぜ私たちはここにいるのかを説明している。

災害などがあった時、位牌を持って逃げようとするのはなぜか。それが先祖と自己のつながりの証だから。
神話はそれらと同じことが言える。
8世紀の人達が自分たちの祖先をどう考えていたかを表したもの、それが神話。
今につながる系譜、こういう人たちが頑張ってきたんだよっていうことを神話は語っている。
個人の自負、地域の自負、国の自負…そういうものを、戦後教育は教えて来なかった。
戦前の皇国史観、戦後はそれを否定すればよかった。
しかし世の中は変わった。

神話が歴史的事実かどうかを問題にすることがあるが、それは近代的実証主義であり、ドイツの思想が入ってきてからの流れ。
正しいかどうかではなく、信じるか信じないか。

最も日本的なメンタリティとは“お天道様が見ている”という感覚。
太陽に向かう生き方を、日本神話は示している。
日向は、朝日の直刺す国、夕日の日照る国・・・
太陽に恥じない生き方を、日向はその名に背負っている。

ニニギノミコトが天の理想を地上にも実現するために天降った(天孫降臨)、それはここから出発するのだという明確なメッセージ。
神武東征(神武天皇が大和平定を目指して旅立つ物語)が伝える、日向は太陽に向かって旅をはじめるところ。
旅をはじめる心とは、明日を信じる生き方。
生きて今ある。今、ここに。


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「神話のふるさと県民大学」

記紀編さん1300年・県内外の多彩な講師陣によるリレー講座を県内各地で実施しています。
残り2回の講座(次回は応募締切)と講演会があります。

2014年1月25日(土) 宮崎県立美術館
 鎌田東二
 「古事記ワンダーランド 出雲/日向/熊野/大和/伊勢
  土地の霊性」

2014年2月23日(日) メディキット県民文化ホール
 斎藤孝
 「声に出して読みたい古事記 -日向神話と日本人-」

▼詳細・お申込みはこちらから
http://www.kanko-miyazaki.jp/mimiyori/2013/20130906kenmindaigaku.html

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Posted by カワノ at 11:26│Comments(0)うんちく
 
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